効果的な集音器・補聴器の選び方|基礎知識から徹底解説

この記事では、聞こえの悩みを抱える方が、ご自身の状況に合った集音器を選ぶための知識を徹底的に解説します。集音器の基本的な仕組みから、効果的な選び方、使用する上での注意点まで、幅広くご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

 

1. 知っておきたい!難聴の種類と集音器の役割

まず、難聴にはいくつかの種類があり、集音器が効果を発揮するケースとそうでないケースがあります。

 

1-1. 代表的な難聴の種類

  • 伝音性難聴: 音が外耳から内耳へとうまく伝わらないことで起こる難聴(例:中耳炎、耳垢の詰まりなど)。
  • 感音性難聴: 内耳の蝸牛や聴神経の機能低下によって起こる難聴(例:加齢性難聴、騒音性難聴など)。
  • 混合性難聴: 伝音性難聴と感音性難聴の両方の原因が合わさった難聴。

 

1-2. 集音器の基本的な役割

集音器は、周囲の音をマイクで拾い、それを増幅してイヤホンやスピーカーから出力するシンプルな機器です。主な目的は、音量を大きくすることです。特定の音域を細かく調整して会話の明瞭さを高める点では、補聴器に軍配が上がります。

 

2. 自分にあった集音器を選ぶための7つのポイント

集音器は多くの種類があり、価格帯も幅広いです。難聴の度合いや使用目的によっては、期待する効果が得られない可能性もあります。ここでは、後悔しないための選び方を7つのポイントにまとめました。

 

2-1. 自分の「聞こえの悩み」を明確にする

どんな時に、どんな音が聞こえにくいのかを具体的に把握しましょう。

  • テレビの音が小さいと感じる
  • 静かな場所での会話は問題ないが、騒がしい場所だと聞き取りにくい
  • 特定の人の声が聞き取りにくい(高い声、低い声など)
  • 遠くの音が聞こえにくい

これらの情報を整理することで、必要な機能や重視すべきポイントが見えてきます。

 

2-2. 形状と装着感

集音器・補聴器には様々な形状があります。

  • 耳かけ型:耳にかけるタイプです。補聴器・集音器として認識されやすく、はっきり話してもらうなどの配慮を受けやすいのもポイントです。ただ、マスクを外す際、マスクの紐に引っかかり耳から外れることがあるので、慣れるまでは注意が必要です。
  • 耳穴型目立ちにくく、手軽に装着できます。また、マスク装着時に邪魔にならないこともメリットです。耳かけ型やポケット型とくらべると小さいため、操作が難しかったり、紛失してしまうリスクも高めです。
  • イヤホン型: 耳穴型と似ていますが見た目がワイヤレス(無線)イヤホンのようにカジュアルなものが多いです。集音器・補聴器ぽさがなくオシャレに見えます。反面、周囲から音楽を聞いていると見られがちで、家族以外と話すときにためらう人もいます。
  • ポケット型:本体をポケットや襟元にとりつけ、イヤホンで聞くタイプ。操作がしやすいのが特徴で、小さな補聴器の操作が難しい方・介護が必要な方などに向いています。
  • 据え置き型:テレビの近くに置いて、スピーカーから音を出すタイプ。複数人で聞く場合に便利です。

ご自身の生活スタイルや好みに合わせて、長時間使用しても負担にならない形状を選びましょう。

 

2-3. 音質と調整機能

  • 周波数特性: どの音域の音を増幅するかは製品によって異なります。自分の聞こえにくい音域をカバーできるものが望ましいです。
  • 音量調整: ほとんどの集音器には音量を調整できる機能がついていますが、念のため音量調整がついていることを確認しましょう。
  • ノイズキャンセル機能: 周囲の騒音を低減し、聞きたい音をクリアに聞ける機能があると、騒がしい場所でも快適に使用できます。一方で音に違和感を感じる方もいらっしゃいます。
  • ハウリング抑制機能:人によっては集音器をつけた際に「ピーピー」という不快な音(ハウリング)が集音器から出ることがあります。このハウリングを抑制する機能があると快適に使いやすいです。

可能であれば、実際に試聴して音質を確認することをおすすめします。

 

2-4. 操作性と使いやすさ

使用される年代の方でも使いやすさに差があります。特に高齢者が使用する場合は、操作方法が簡単であることが重要です。

  • 電源のON/OFFが簡単か
  • 音量調整がしやすいか
  • 充電や電池交換がしやすいか
  • お手入れが簡単か

ボタンが大きかったり、表示が分かりやすかったりするモデルを選ぶと良いでしょう。

 

2-5. 充電式か電池式か

  • 充電式: ランニングコストを抑えられ、充電の手間はありますが電池交換の煩わしさはありません。充電を忘れてしまうとすぐに使えないのがデメリットです。
  • 電池式: 電池を購入する必要があるため充電式と比べるとランニングコストは高いですが、電池が切れた場合すぐに交換できることがメリットです。外出時には予備の電池を持ち歩くようにしましょう。

使用頻度やライフスタイルに合わせて選びましょう。

 

2-6. 安全性

  • 最大音量制限機能: 音量が上げすぎると耳の負担となり聞こえが悪化することもあります。音量を上げすぎないように制限する機能があると、より安心です。
  • 自動音量調整機能: 突然の大きな音を抑制する機能があると安心です。

安全に関する機能も確認しておきましょう。

 

2-7. 価格と保証

集音器の価格帯は幅広いため、予算に合わせて選びましょう。安価な製品でも一定の効果が得られる場合もありますが、高機能な製品ほど細やかな調整や快適な使い心地が期待できます。

また、保証期間や返品・交換の可否、修理などのアフターサポート体制も確認しておくと安心です。

 

3. 集音器を使用する上での注意点

集音器は便利な機器ですが、使用する上でいくつかの注意点があります。

  • 過度な音量に注意: 音量を上げすぎると、聴覚を損なう可能性があります。最初は小さな音量から試し、徐々に上げていきましょう。
  • 補聴器との違いを理解する: 集音器はあくまで音を大きくする機器であり、難聴の根本的な解決にはなりません。
  • 異音や不快感を感じたら使用を中止する: 耳に合わない場合や、不快な症状が出た場合は使用を中止し、必要であれば専門医に相談しましょう。
  • 定期的なメンテナンスを行う: 本体を清潔に保ち、取扱説明書に従って適切にメンテナンスを行いましょう。基本的に水洗いはNGで、使用後は乾拭きして清潔に保ちます。商品によっては乾燥ケースで乾燥する必要があります。日頃のメンテナンスをこまめに行うことで集音器を長持ちさせることができます。

 

4. まずは専門医への相談を

聞こえのことで少しでも気になることがあれば、自己判断せずにまずは耳鼻咽喉科を受診し、専門医に相談することをおすすめします。医師の診断を受けることで、難聴の種類や程度を正確に把握でき、適切な対処法(補聴器、治療など)を知ることができます。

集音器は、医師の診断を受けた上で、軽度の聞こえのサポートとして補助的に活用することを検討しましょう。

 

まとめ

この記事では、難聴に効果的な集音器の選び方について解説しました。ご自身の聞こえの悩みを明確にし、形状、音質、操作性、安全性、価格などを考慮して、最適な集音器を選ぶことが大切です。

更新日:2025年9月6日(土) 09:35

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